病気・症状 事典
5.メディカル用語事典
デング熱(デング症)
1.デング熱とは
デングウイルスが感染しておこる急性の熱性感染症です。主に、熱帯や亜熱帯の地域で流行し、東南アジア、南アジア、中南米での発症報告が多くあります。日本でも、約60年ぶりの国内感染例として、2014年8月、東京の代々木公園を訪れた男女十数人がデング熱に感染しました。通常、海外の流行地で感染することがありますが、東京で感染した患者の中には、海外旅行の経験がないと者もいると伝えられています。
2.原 因
(1)デングウイルスは、主に蚊によって媒介されます。蚊が、デングウイルスに感染した患者を吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖します。そして、ウイルスを増殖させた蚊が、他の者を吸血することでウイルス感染します。人から人へ直接感染するようなことはありません。
(2)主な媒介生物は、「ネッタイシマカ」や「ヒトスジシマカ」です。「ネッタイシマカ」は、日本には常在していませんが、「ヒトスジシマカ」は、日本の青森県以南のほとんどの地域でみられます。
(3)デングウイルスには4つの型があります。例えば、1型に感染した場合、1型に対しては終生免疫を獲得するとされます。しかし、他の型に対する免疫は数ヶ月で消失してしまいます。その後は他の型に感染した際に、より重篤な症状を起こす「デング出血熱」になる確率が高くなると言われています。
3.症 状
デング熱の症状は、次の通りです。
・ 初期症状は40℃程度の高熱が出ます。全身の痛みや頭痛、結膜充血を伴い、2~7日間続きます。
・ 発症後3~4日後に、はしかに似た発疹が現れます。
・ まれに出血性ショックを引き起こすこともあります。
※なお、潜伏期間は、2~15日です。また、現在、デングウイルスに有効な予防ワクチンは存在していません。
4.治 療
デング熱に対する、特別な治療法はありません。症状に応じた対症療法が行われます。主には、輸液や鎮痛解熱剤の投与です。
デング熱は、適切な治療を施せば、予後は比較的良好です。症状が回復し始めると迅速に回復するのが特徴です。
